医療現場の現状
今、リーダーが1人で切りまわす階層型のリーダーシップだけでは、うまく職場を運営できないケースが増えています。 医療現場では、仕事に必要な知識が高度化し専門化が進み、患者様のニーズに対応するために、多様な専門職の知識や情報、 アイディアが必要になっているのです。
ところが、医療現場で働く人は、多様なメンバーの「知恵とチカラをあわせられる場」がないため、職場の課題を解決できず、 これが働く人の不満や離職、さらには患者様へのサービス水準の低下につながっていると感じていることが多いようです。
知恵とチカラをあわせ、職場を改善できるリーダーシップの重要性
こうした中、メンバーの意見やちょっとした違和感をひき出し、課題をみんなで共有し、チームで協力して課題解決をすすめていく<知恵とチカラをあわせ職場を改善していくリーダーシップ>が求められています。これがメンバーを生かし、患者様の満足度を高めていくことにつながっていきます。
具体的には、役割や階層・経験にかかわりなく、働く中で生まれてくる「違和感」や「こうしたらいいのに」という想いをきちんと出せる場を作り、問題意識を共有して、より患者様のためによいように、自分たちに働きやすいように、皆で課題を解決していくことを促進するリーダーシップが求められています。
自分の意見・アイディアが職場を変え、患者様によりよくなる経験をすると、メンバーはより積極的に職場の改善にかかわるようになります。この「違和感をだせる」→「問題意識を共有できる」→「チームで課題解決できる」→「患者様のためによくなった・働きやすくなった」という「成功の循環」を築くことが大切です。
こうした職場風土づくりと成功の循環を実現するため、次のようなリーダー養成プログラムをご提案します。
研修のねらい
【1】知恵とチカラをあわせられる風土づくりのファシリテーションを学ぶ
職場の中が、下のような風土であれば、知恵とチカラをあわせ職場を改善していくことはできません。
「成功の循環」を築くには、下記のような皆が知恵とチカラをあわせられる風土を作っていくリーダーのスキルが求められますが、 これを「ファシリテーション」と呼んでいます。
【2】ファシリテーションのベースとなるコミュニケーションを学ぶ
ところで、職場風土を作るファシリテーションのスキルは、コミュニケーションをベースにしています。 具体的にはコミュニケーションで下記の3つの風土を作っていくのです。
- 傾聴・要約・確認のコミュニケーション リーダーが、メンバーの発言の真意をつかみ、その内容を確認するコミュニケーションを意識することで、互いを受容しあう「聴きあう風土」 が生み出されてきます。
- 自分を開き、かかわるコミュニケーション(自己開示) リーダーが少し自分をオープンにしてメンバーとかかわることで、話しやすい雰囲気が生まれます。これは「伝えあう風土」といっていいで しょう。
- 感じたことを相手に伝えるコミュニケーション(フィードバック) 自分の感じたことを相手やグループにつたえるコミュニケーションです。リーダーはこれをうまく使うことで、メンバーへの関心を示すことが でき、成長も促進できます。これは「学びあう風土」といっていいでしょう。
【3】ファシリテーションを活用した課題解決のための会議の仕方を学ぶ
さて、実際の職場の改善のためには、メンバーの違和感や問題意識をあわせ、皆の知恵とチカラをあわせ、課題を 解決していく会議のやり方をリーダーが学ぶ必要があります。
具体的には、会議の中で、風土づくりができるチェックインや会議のふりかえりを行うとともに、会議において皆の問題意識を共有するKJ法 や意見の発散・収束の手法、そして全員が納得して合意を形成する会議を促進するスキルを学びます。
【4】自分と職場の将来をみつめビジョンを共有する
本当に働きやすく、そして患者様のためになる職場を作るには、リーダーの皆様が、5年後、10年後にどのような病院を作りたいのかの
ビジョンを共有し、そこから自分に何をできるのかを考える必要があります。
そしてそのためには、今一度、自分たちがなぜ・何のためにこの職を選び働いてきたのかを見つめなおすことが求められます。
研修プログラム例 4時間×4回
1日目、2日目◎職場風土作りの基礎知識とそのベースになるコミュニケーション
「働きやすく成果のあがる職場風土」の重要性とそれを作っていくためのリーダーの役割を学びます。 また傾聴・要約・確認のスキル、自分をオープンにして言いやすい雰囲気を作る自己開示、さらに部下が職場に貢献できるよう育てていく フィードバックのスキルを学びます。
| 1日目 | プログラム(仮に研修時間を13時〜17時とした場合) |
|---|---|
| @13:00〜13:15 | オリエンテーション |
| A13:15〜13:35 | リラックスして研修ができる態勢づくり 「私の4つの窓」 |
| B13:35〜13:50 | 小講義 「働きやすく成果のあがる職場風土とその重要性」 |
| C13:50〜15:50 | 職場風土作りの役割(ファシリテーション)を体験する体験学習 グループワーク実習 「タワー・ビルディング」 休憩 小講義 「職場風土作りの役割と風土作りを妨げるもの」 |
| D15:50〜16:45 | 小講義 「職場風土作りのコミュニケーション(1)傾聴」 コミュニケーション実習 「傾聴と要約・確認のワーク」 ふりかえり |
| E16:45〜17:00 | 今日の学びの整理とわかちあい |
| 2日目 | プログラム |
|---|---|
| @13:00〜13:15 | オリエンテーション |
| A3:15〜13:45 | リラックスして研修ができる態勢づくり |
| B3:45〜14:00 | 小講義 「職場風土作りのコミュニケーション(2)自己開示とフィードバック ジョハリの窓」 |
| C14:10〜14:50 | コミュニケーション実習「自己開示とフィードバックの練習」 小講義 「受け取りやすいフィードバックの条件 |
| D14:50〜16:40 | グループワーク実習 「5人のボランティア」「相互フィードバックのトレーニング」 小講義 「コンセンサスの促進とマネジメント」 |
| E16:40〜17:00 | 学びの整理とわかちあい、アンケート |
3日目◎ファシリテーションを活用した課題解決のための会議の仕方を学ぶ
患者様によりよくするために、より働きやすい職場を作るためのサイクルを築ける会議を運営できる力を養成します。 具体的には実際に課題を集約し、合意形成して、PDCAを回すサイクルについて学びます。
| 3日目 | プログラム(仮に研修時間を13時〜17時とした場合) |
|---|---|
| @13:00〜13:15 | オリエンテーション |
| A13:15〜13:35 | リラックスして研修ができる態勢づくり 「チェックイン」 |
| B13:35〜13:50 | 小講義 「マネジメント(1)患者様によりよくするための、より働きやすい職場を作るためのサイクルを築く」 |
| C13:50〜16:25 | 模擬会議「職場の課題を明確化し共有するし、取り組むべき課題を合意形成する」 ふりかえり 発表 |
| D16:25〜16:40 | 小講義 「全員参加の風土を作る会議のファシリテーション」 |
| E16:40〜17:00 | 今日の学びの整理とわかちあい、アンケート |
4日目◎自分と職場の将来をみつめビジョンを共有する
この回では自分がなぜこの職に就いたのかと、仕事で大事にしていることを再確認し、自分たちがそれを活かすために、 この病院でこれから何をしていきたいのかを共有化していきます。そして最後に自分たちがリーダーとしてできることを考えていきます。
| 4日目 | プログラム(仮に研修時間を13時〜17時とした場合) |
|---|---|
| @13:00〜13:10 | オリエンテーション |
| A13:10〜13:25 | リラックスして研修ができる態勢づくり 「チェックイン」 |
| B13:25〜13:40 | 小講義 「マネジメント(2)メンバーのベクトルをあわせるビジョンの重要性」 |
| C13:40〜14:40 | グループワーク実習 ビジョンをあわせる@ 「互いの想いをわかちあう〜仕事で大事にしたい自分の価値観を探る」 |
| D14:50〜16:40 | グループワーク実習 ビジョンをあわせるA 「10年後の自分たちのビジョンを描く」 自分たちにできること |
| E16:40〜17:00 | 今日の学びの整理とわかちあい、アンケート |
研修における学び方の特徴 ラボラトリーメソッドによる体験学習法について
この研修では、より実践的で研修員1人ひとりの個性に合わせた学びを可能にする体験学習法を採用しています。
【1】生成
グループ・ダイナミクスの基礎を築いたレヴィンが開発したもの。安全な学び場を設定し、課題 (疑似的課題・模擬会議‥)を2人またはグループがこなし、そこで起きたことを各メンバーがどのように感じ・とらえているかをふりかえる ことで、自分のかかわりかたの特徴やグループの成長過程を学ぶ方法である。
メンバーはこのラボラトリー(実験室)の中で、新たなやり方を 試し(聴いてみる、伝えてみる)、フィードバックをもらうことで、より適切なコミュニケーションやリーダーシップを追求できる。 こうして、より自分らしい持ち味を生かしながら、グループの効果を高めていくことが可能となる。
【2】体験学習法の循環過程
- 体験する(experiencing) Do やってみる→気付き
- 指摘する(Identifying) Look 観てみる いまここのプロセスをみ、焦点をあてる
- 分析する(Analyzing) THINK 考えてみる
- 概念化する(Hypothesizing)Plan 仮説化、一般化
【3】学びの特徴
| 項目 | 学校型講義形式 | ラボラトリメソッドによる体験学習法 |
|---|---|---|
| 学ぶ内容 | 概念(知識)学習 | より適切な態度・行動の仕方(行動変容) |
| 課題の設定者 | 講師 | 大枠は講師、具体的課題は学習者 |
| 講師とは? | 教授する人 | 学びのファシリテーター 1.豊かな体験ができる場を創り出す 2.体験を内省し自らの課題を学習者が見出すよう促進 3.仮説を立て新しい行動を獲得できるように支援(知識・理論はここで活用される) |
| 主体性 | 受け身の学習 | 主体性を育てる(自ら考え成長できる)学習 |
| 現場との関連 | 行動変容までは期待しにくい | ・現場でも体験学習法で学び続けられる ・行動変容は現場ですぐ役立つ |
